汎用AIが社内の専門用語に対応できない理由

生成AIは幅広い一般知識をもとに文章を作成できますが、それはあくまで一般的に公開されている情報の範囲内での話です。ある工場でしか使われていない部品の略称、独自の設備名、現場だけで通じる言い回しといった社内固有の専門用語は、汎用的なAIには元から知りようがありません。

そのため、AIに作業手順書を作らせると、意味は合っているものの、社内で普段使っている呼び方とは違う一般的な表現に置き換わってしまうことがあります。現場の作業者からすると「言っていることは分かるが、いつもの呼び方と違って読みにくい」という状態になりかねません。

RAG(検索拡張生成)とは何か

この課題に対応する仕組みがRAG(Retrieval-Augmented Generation・検索拡張生成)です。難しく聞こえますが、考え方はシンプルです。AIが回答を生成する前に、あらかじめ登録しておいた自社の資料(社内マニュアル・仕様書・過去の手順書など)の中から関連しそうな箇所を検索し、その内容を踏まえた上で文章を生成する、という2段階の仕組みです。

イメージとしては、「何も知らない担当者に一般論だけで手順書を書かせる」のではなく、「社内資料という虎の巻を渡した上で、それを参照しながら書かせる」という違いです。参照する社内資料の中身次第で、生成される文章に登場する用語や言い回しを、自社の実態に近づけられます。

RAGでできるようになること

できること 具体例
自社の呼び方に合わせた表現 部品の略称・設備の通称などを、社内資料に登録された呼び方に沿って生成しやすくなる
過去のマニュアルとの表記統一 既存の手順書・仕様書を参照させることで、新しく生成する文書との用語のばらつきを抑えやすくなる
社内資料を踏まえた質問への回答 登録した資料の内容をもとに、社内固有の手順や基準についての質問に回答しやすくなる

ポイント: RAGは「社内資料を登録すれば完璧な社内用語に変換される」という魔法の仕組みではありません。登録した資料の質・量に生成結果が左右されるため、対訳表のような専門用語集や、実際に現場で使われている手順書を資料として登録することが、精度を高める近道になります。

導入する際のポイント

RAGを活用したマニュアル生成を導入する際は、次の点を押さえておくと効果を得やすくなります。

  • どんな資料を登録できるか確認する: PDF・Word・Excel・CSVなど、社内で実際に使っているファイル形式が登録対象になっているか
  • 登録する資料を厳選する: 古くなった資料や矛盾する記述をそのまま登録すると、生成結果にも矛盾が反映されてしまう。最新かつ現場で実際に使われている資料を優先する
  • 生成結果を人が確認する: RAGを使っても生成物は下書きである前提を変えず、社内用語が意図通りに反映されているかを最終的に人が確認する

AI Manual Coachの学習資料(RAG)機能

AI Manual Coachは、PDF・Word・Excel・CSVなど社内資料を検索対象に含めた回答生成を行う学習資料(RAG)機能を備えています。既存のマニュアル・仕様書といった社内資料を学習資料として登録することで、生成されるマニュアルに自社独自の専門用語・言い回しを反映しやすくなります。

作業動画から手順書を自動生成する仕組みと組み合わせることで、動画から起こした手順文を、社内で実際に使われている用語に近づけた形で出力できる点が特徴です。仕組みの詳細は生成AIで動画から作業手順書を自動生成する仕組みもあわせてご覧ください。

自社の専門用語に対応したマニュアル生成を試したい方へ

AI Manual Coachの学習資料(RAG)機能の詳細は、資料請求またはお問い合わせでご案内しています。

資料請求・お問い合わせ

まとめ

汎用的な生成AIは、企業ごとの専門用語・略称・言い回しまでは把握していないため、そのまま使うと一般的な表現に寄ってしまうことがあります。社内のPDF・Word・Excel・CSVなどを参照して回答を生成するRAGの仕組みを使えば、既存の社内資料を手がかりに、自社の実態に近い用語でマニュアルを生成しやすくなります。登録する資料の質を保ち、生成結果は必ず人が確認するという前提を守ることが、RAG活用を成功させるポイントです。