働き方改革とは
働き方改革とは、長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保を目的とした、一連の労働関連法制度の見直しを指します。2019年から順次施行された働き方改革関連法により、企業には具体的な対応が義務付けられています。
製造業は交代制勤務・繁閑差の大きい生産計画・現場の技能に依存した業務が多いという特性があり、他業種に比べて対応が難しい論点が生じやすい業界のひとつです。
製造業に関わる主な対応事項
| 対応事項 | 内容 |
|---|---|
| 時間外労働の上限規制 | 原則月45時間・年360時間を上限とし、臨時的な特別な事情がある場合でも年720時間等の上限を超えられない |
| 年5日の年次有給休暇取得義務 | 年10日以上の有給休暇が付与される従業員に対し、年5日は企業側が時季を指定するなどして確実に取得させる義務 |
| 同一労働同一賃金 | 正社員と非正規雇用労働者(派遣・期間工など)との間で、不合理な待遇差を設けることを禁止 |
| 割増賃金率の見直し | 月60時間を超える時間外労働に対する割増賃金率の引き上げ(中小企業も対象) |
詳細な適用条件や自社への該当有無は、業種・企業規模によって異なるため、対応にあたっては社会保険労務士など専門家への確認が推奨されます。
現場で生じやすい課題
働き方改革への対応は、現場の教育・技能伝承のあり方にも影響します。
- OJT時間の圧縮: 時間外労働が制限されることで、これまで残業時間を使って行っていたOJTや技能伝承の時間が確保しにくくなる
- 交代制勤務での教育格差: 日勤中心に組まれがちな研修・教育の機会が、夜勤・交代制のメンバーに届きにくくなる
- 非正規雇用労働者への教育投資: 同一労働同一賃金の考え方のもと、派遣・期間工にも一定の教育機会を提供する必要性が高まる
つまり、労働時間を短縮しながらも、これまでと同等以上の教育・技能伝承の質を維持することが、製造業における働き方改革対応の実務的な焦点になります。
限られた時間で教育の質を保つ工夫
残業時間に頼らず教育を成立させるには、教育そのものを効率化する視点が欠かせません。口頭説明やその場限りのOJTに頼るのではなく、標準化された手順書・動画教材をあらかじめ用意しておくことで、限られた時間の中でも一定の質の教育を提供できます。動画教材であれば、日勤・夜勤を問わず本人のタイミングで学習を進められる点もメリットです。
まとめ
働き方改革関連法は、時間外労働の上限規制・年5日の有給取得義務・同一労働同一賃金などを製造業にも求めており、交代制勤務や繁閑差の大きい現場には特有の対応の難しさがあります。教育・技能伝承の時間が圧縮される中で質を維持するには、教育そのものを効率化する工夫が重要です。