自主保全とは

自主保全とは、設備の日常点検・清掃・給油・増し締めといった基本的な保全活動を、専門の保全部門ではなく設備を実際に使う作業者自身が行う活動です。「TPM(Total Productive Maintenance、全員参加の生産保全)」を構成する代表的な柱のひとつとして位置づけられています。

背景にある考え方は「自分の設備は自分で守る」というものです。日常的に設備に触れている作業者だからこそ気づける「いつもと違う音・振動・匂い」といった異常の予兆を、専門保全部門が巡回するよりも早く捉えられるという利点があります。

専門保全との違い

自主保全 専門保全
担当者 設備を使用する作業者(オペレーター) 保全部門の専門技術者
主な活動 清掃・給油・増し締め・日常点検・小さな異常の早期発見 設備の分解整備・専門的な修理・予防保全計画の立案
目的 設備の劣化を防ぎ、異常の芽を早期に見つける 専門知識を要する保全業務に集中し、故障を未然に防ぐ

自主保全によって日常的な劣化防止と異常の早期発見を作業者が担うことで、専門保全部門はより専門性の高い予防保全・改善保全に集中できるようになります。

自主保全の7ステップ

自主保全は、一般に次の7つのステップを順に進めて定着させます。

  1. 初期清掃: 設備を徹底的に清掃し、清掃しながら不具合・異常箇所を発見する
  2. 発生源・困難箇所対策: 汚れの発生源や、清掃・点検がしにくい箇所を改善する
  3. 自主保全仮基準の作成: 清掃・給油・点検の頻度と基準を、作業者自身で仮に決める
  4. 総点検: 保全部門の指導のもと、設備の構造や点検方法を学び、点検の技能を高める
  5. 自主点検: 総点検で学んだ内容をもとに、自主保全基準を見直し精度を高める
  6. 標準化: 清掃・点検・給油の手順を、職場全体の標準作業として整備する
  7. 自主管理の徹底: 目標達成に向けたデータ収集・分析を継続し、活動を定着させる

ステップを一気に飛ばして進めると、点検基準が形だけのものになりがちです。特にステップ1〜3の「初期清掃で不具合を見つける経験」は、その後の点検の質を左右する重要な段階とされています。

形骸化しやすい理由と定着のポイント

自主保全は「点検表にチェックを入れるだけの作業」に形骸化しやすい活動でもあります。原因の多くは、点検項目が多すぎる・基準があいまい・なぜその点検が必要かが伝わっていない、といった点にあります。

定着させるには、点検項目ごとに「正常な状態」を写真や動画で示し、誰が見ても同じ基準で判断できるようにすることが有効です。特に新人や異動者に自主保全を引き継ぐ場面では、ベテランが点検している様子を動画で残しておくと、判断基準の言語化・継承がしやすくなります。

点検・清掃の基準を、動画とAIで残す。

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まとめ

自主保全は、設備を使う作業者自身が清掃・給油・点検を担うTPMの柱のひとつで、7ステップを順に踏んで定着させます。点検基準が形骸化しないよう、正常な状態を明確に示し、判断基準を継承できる仕組みを整えることが重要です。