サーブリッグ分析とは

サーブリッグ分析とは、人の作業動作を18種類の基本要素(サーブリッグ)に分解し、記号を使って記述することで、ムダな動作を発見・排除するIE(インダストリアル・エンジニアリング)の手法です。考案者であるギルブレス(Gilbreth)夫妻の名前の綴りを逆から読んだ「Therblig」が名称の由来とされます。動作分析の中でも最も細かい粒度で動きを観察する手法で、手作業の多い組立・検査・梱包などの工程改善に使われます。

サーブリッグ分析の要点は、どんな作業も「手を伸ばす」「つかむ」「運ぶ」といった共通の基本動作の組み合わせで記述できる、という考え方にあります。共通の言葉で動作を書き出せるため、「どの動作がムダか」を人によらず同じ基準で議論できるようになります。

18の基本動作と3つの分類

18の基本動作は、仕事への貢献度によって第1類〜第3類に分類されます。第1類は仕事を進めるために必要な動作、第2類は仕事の進行を遅らせる動作、第3類は仕事にならない(価値を生まない)動作です。

分類 性格 基本動作(略号) 改善の方向
第1類 仕事を進めるうえで必要な動作 手を伸ばす(TE)/つかむ(G)/運ぶ(TL)/位置決め(P)/組み合わす(A)/分解する(DA)/使う(U)/放す(RL)/調べる(I) なくせないが、距離や回数を短く・少なくする
第2類 仕事の進行を遅らせる動作 探す(Sh)/見出す(F)/選ぶ(St)/考える(Pn)/用意する・前置き(PP) 置き場・表示・治具の工夫で減らす
第3類 仕事にならない動作 保持する(H)/避けられない遅れ(UD)/避けられる遅れ(AD)/休む(R) 治具化・工程設計の見直しで排除する

ポイント: 改善の優先順位は「第3類を排除する → 第2類を減らす → 第1類を短くする」の順です。たとえば片手で部品を「保持する(H)」動作は治具に持たせれば排除でき、部品を「探す(Sh)」「選ぶ(St)」動作は置き場の定位置化や色分け表示で減らせます。第1類の動作は排除できませんが、部品の配置を近づけて「手を伸ばす(TE)」「運ぶ(TL)」の距離を縮めることはできます。

サーブリッグ分析の進め方

ステップ1: 対象作業を選ぶ

繰り返し回数が多く、手作業の比率が高い作業ほど分析の効果が出やすくなります。サイクルタイムのばらつきが大きい作業、作業者によって出来栄えが違う作業も有力な候補です。

ステップ2: 作業を動画で撮影する

サーブリッグは1つひとつが1秒に満たないことも多く、肉眼での記述はほぼ不可能です。手元の動きがはっきり見える位置から動画を撮影します。両手の動きが同時に見える画角にすることが重要です。撮影のコツは作業動画の撮り方で解説しています。

ステップ3: 動作を左右の手に分けて記号で書き出す

動画を見ながら、左手・右手それぞれの動作をサーブリッグ記号で時系列に書き出します(両手動作分析表の形式が一般的です)。ここで大切なのは、良し悪しの判断を挟まず、まず事実をそのまま記述することです。

ステップ4: 第2類・第3類の動作に印をつける

書き出した記号のうち、第2類・第3類に当たるものに印をつけます。「探す」「選ぶ」「保持する」「手待ち」がどこで・なぜ発生しているかを現場の状況とあわせて確認します。片手が「保持」ばかりで、もう片方の手だけが働いている、といった両手のアンバランスもここで見えてきます。

ステップ5: 改善案を立て、実施後に再分析する

第3類の排除、第2類の削減、第1類の短縮の順で改善案を立てます。改善を実施したら同じ条件で再撮影・再分析し、動作数や第2類・第3類の比率がどう変わったかを確認します。

動作経済の原則と組み合わせる

サーブリッグ分析が「どこにムダがあるか」を見つける手法だとすれば、改善案の引き出しになるのが動作経済の原則です。動作経済の原則は、疲れにくく効率的な動作の条件を「身体の使い方」「作業場所の配置」「治具・設備の設計」の観点から整理したもので、代表的には次のような原則があります。

  • 両手は同時に、対称の方向に動かす: 片手だけが働き、もう片方が保持や手待ちになっている状態をなくす
  • 動作の距離は最短にする: 使用頻度の高い部品・工具ほど手の近くに定位置を決める
  • 保持は治具に任せる: 人の手を「万力」として使わない
  • 探す・選ぶをなくす配置にする: 定位置化・色分け・取り出しやすい容器で、判断を挟まず手が届くようにする

分析で見つけた第2類・第3類の動作に対して、どの原則を適用できるかを検討する、という組み合わせ方が実践的です。

動画のスロー再生で分析する

サーブリッグ分析の実務は、動画のスロー再生・コマ送りとセットで行うのが現在の標準的なやり方です。標準速度では流れてしまう「一瞬の探す動作」「持ち替えの前置き」も、再生速度を落とせば確実に拾えます。また、熟練者と新人の動画を並べて同じ要素作業を見比べると、時間の差がどの動作の差から生まれているのか——熟練者には「探す」「考える」がほとんどなく、両手が対称に動いている、といった違い——を具体的に確認できます。

動作の差を言語化し、標準のやり方として残す

サーブリッグ分析で見つけた「良い動き」は、分析した人の頭の中に留めず、手順書や教育資料として現場に残してこそ価値になります。AI Manual Coachは、作業動画をアップロードするだけでAIが工程を解析し、作業手順書を自動生成する製造業向けのシステムで、動作レベルの改善を定着させる次の機能を備えています。

  • 熟練者・新人比較分析: 熟練者と新人の作業動画を比較し、差分と改善提案を言語化した分析レポートを自動生成。動作の違いを言葉にする作業をAIが支援する
  • マニュアル自動生成: 改善後の「良い動き」の動画から、テキスト・画像付きの作業手順書を自動生成し、標準のやり方として配布できる
  • 習熟度・スキル評価: 作業動画からスキルスコアを算出し、改善した動作が定着しているかをダッシュボードで確認できる

見つけた「良い動き」を、現場の標準として定着させる

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まとめ

サーブリッグ分析は、人の動作を18の基本要素に分解し、共通の記号で記述することで、感覚でしか語れなかった動きのムダを特定する手法です。第3類(仕事にならない動作)の排除、第2類(仕事を遅らせる動作)の削減、第1類(必要な動作)の短縮という優先順位で改善を進め、改善案の引き出しには動作経済の原則を使います。動画のスロー再生を活用すれば、専門の訓練がなくても実務レベルの分析が可能です。まずは繰り返しの多い手作業を1つ選び、両手の動きを記号で書き出すところから始めてみてください。