実行承認は、操作の対象と内容を指定する

AIエージェントは、与えた目標に沿って資料や外部機能を使う仕組みです。メールの送信や台帳の更新まで連携させる場合、下書きを読むだけの利用より確認する対象が増えます。「この仕事を進めて」と広く許可する前に、読める資料、作れる下書き、書き込める場所を決めます。

MicrosoftのCopilot Studio公式資料は、明確な範囲と権限、重要な操作を実行する前の人による承認、必要な権限だけの付与を説明しています。本記事の4段階は、それを社員が判断できる形へ整理した社内ルールの教材例です。特定製品に同じ承認画面や連携機能があるという仕様説明ではありません。実装できるかは、使うサービスと会社の権限設定を個別に確認します。

人が承認する4段階を、操作の直前に置く

段階操作の前に承認する内容未承認なら止めること
1. 読む(read)対象の資料、行、版と、読む目的対象外のメール、取引先一覧全体、添付資料を追加で読む
2. 下書きする(draft)下書きの用途、含める情報、扱う案件発注、値引き、納期確定など別の用途へ進む
3. 照合する(check)照合に使う原資料・本文・更新案の版と、確認する項目対象外の資料で照合する、推定した内容を確定情報へ変える
4. 書き込む(write)送信先・本文・添付と、台帳の行・欄・変更後の値を各操作ごとに指定する承認した内容以外を送信・更新する

この教材では、各段階を人が確認してから次の操作を許可します。読む許可は送る許可を含まず、下書きの照合が終わっても送信は別途承認します。台帳更新も送信とは別の操作なので、一方の承認や成功を、もう一方の許可や完了として扱いません。

架空の納期確認依頼で、読み取り範囲を限定する

以下は編集用の架空教材です。実際の仕入先、発注、AI連携を示しません。購買担当Aが、仕入先Sへ納期の回答を確認し、社内の問い合わせ台帳へ依頼の記録を残す場面を想定します。承認者は購買責任者Bです。

許可する原資料原資料の記載(架空)人が許可する範囲
確認メモQ-42/版1.0部材A/希望数量20個/希望納品日2026年10月20日/仕入先Sの納期回答は未回答このメモ一件を読み、納期確認の依頼を作る
会社管理の連絡先登録C-S/版1.0仕入先Sの登録済み受注窓口その登録先を宛先候補として参照する。他の連絡先は対象外
問い合わせ台帳Q-42の行状態:未依頼。依頼日・依頼内容は未記入その行の現在値を読む。納期確定欄や他案件は対象外

読む段階では、Bがこの3資料の版と範囲を指定します。下書き段階では、納期確認メール一件と問い合わせ記録一件だけを許可します。仕入先からの回答がないため、確定納期を埋める根拠はありません。実務の宛先は会社が管理する登録情報で確認し、AIが検索して見つけた窓口へ変更しないルールにします。

下書きと更新案を、原資料に照合する

コピーして試せる指示文:上の架空資料だけを使い、仕入先Sへの納期確認メールの下書きと、問い合わせ台帳Q-42の更新案を作ってください。部材A、希望数量20個、希望納品日2026年10月20日を記載し、希望日を確定納期に変えないでください。価格、発注条件、添付を追加しないでください。更新案は依頼日・依頼内容・状態だけを示し、送信や更新は行わないでください。依頼日は、演習用の2026年10月9日を使ってください。

メール案E-01/版1.0:件名:部材Aの納期回答確認。本文:仕入先S 受注窓口 ご担当者様。部材Aの希望数量20個について、希望納品日を2026年10月20日として確認しています。対応可否と納期の回答をご連絡ください。購買担当A。

更新案R-01/版1.0の欄変更後の値照合する根拠
依頼日2026年10月9日指示で指定した演習用の日付
依頼内容部材A20個、希望納品日2026年10月20日の対応可否・納期回答を仕入先Sへ確認Q-42の品名・希望数量・希望日と一致
状態回答待ち送信成功の確認後に更新する予定値。現時点は未依頼

完成見本は編集時に作った期待値で、実AIの出力ではありません。照合を始める前に、BはQ-42・E-01・R-01の各版1.0と、数量・希望日・未回答の状態を確認項目として許可します。照合結果はBが原資料へ戻って確認します。更新案が整っていても、送信前に台帳を「回答待ち」へ変えない点も確認し、書き込みの許可は次の段階で指定します。

送信と台帳更新は、それぞれ実行内容を承認する

書き込む段階の承認記録には、メール本文だけでなく宛先・添付、台帳の対象行・欄を入れます。以下は演習内の承認様式の完成例です。実際に人の承認を取得した記録や、外部へ実行した履歴ではありません。

操作実行承認の記入例(架空)
W-01:メール一件の送信承認者B/送信者A/宛先C-S版1.0の登録先のみ/件名「部材Aの納期回答確認」/本文E-01版1.0のみ/添付なし/案件Q-42。内容・宛先・添付が変われば再承認
W-02:台帳一行の更新承認者B/対象Q-42の行/依頼日・依頼内容・状態をR-01版1.0どおりに更新/条件:W-01の送信成功を人が確認済みで、対象行が承認時の未依頼から変わっていないこと。他の欄は対象外

流れは、W-01の直前承認、送信、結果確認、W-02の直前承認、台帳更新、更新結果確認です。送信したつもりでも結果を確認できなければ、W-02へ進みません。研修では、この順序を紙の承認票で追う演習から始められます。連携機能が未確認なら、AIは下書きまで、人が送信・記録する範囲で試行できます。

承認後に条件が変わったら、実行を止めて戻す

承認者が見た内容と、操作直前の内容が同じかを確認します。数量が20個から30個へ変更された場合、本文だけを自動で直して送るのではなく、変更後の原資料を照合して再承認します。宛先登録や添付、更新する行が変わった場合も同じです。

メールの送信結果が不明なときは、重複送信を避けるため結果を確認する人へ戻し、確認できるまで再送と台帳更新を保留します。別の社員が先に台帳を更新していた場合も、承認時の値で上書きせず差分を確認します。Bが不在なら、その場で代わりの承認者をAIに選ばせず、会社が定めた経路へ戻します。

経営者は、権限と完了確認の担当を決める

試行の前に、連携を設定する人、業務の承認者、操作結果を確認する人、停止時の連絡先を割り当てます。読むだけの仕事には更新権限を付けず、対象の案件や保存先も必要な範囲へ絞ります。自然文の指示だけで制限できたと判断せず、利用サービス側の権限と停止方法を確認してください。

社員の研修では、承認票へ対象と内容を書けること、未確認の値を見つけられること、結果不明の操作を止められることを到達点にできます。外部操作へ進む前に、架空資料と下書きだけの環境で練習し、会社の条件に合うかを確認します。

AIに渡す作業と、人が確認する範囲を整理する

中小製造業向け社員AI研修について、対象業務、確認役、社員が判断する条件を整理してご相談ください。使用ツールや外部連携、実施内容の条件は個別に確認します。

AIの出力確認を学ぶ社員研修について相談する

まとめ

製造業のAIエージェントの承認ルールは、読む・下書きする・照合する・書き込む4段階で、操作直前の対象と内容を指定します。送信と更新は別々に承認し、結果の確認後に次へ進めましょう。条件変更や結果不明のときに止めて人へ戻す範囲まで決めると、社員が実行可否を判断する教材になります。

参考資料・確認日

出典確認日:2026年10月2日。Q-42、連絡先、本文、更新案、承認票は架空の教材です。実ツールでの読み取り・送信・更新は行っていません。当社の外部連携や研修の確定仕様ではありません。