RFPでは、自社で決めた条件を提案の根拠にする

RFPは提案依頼書です。ITツールの購入・開発では、現在の課題、扱う業務、必要な機能や運用条件を示し、ベンダーへ提案を求める資料として使います。生成AIには材料の整理と表の下書きを依頼し、発注者が原資料を確認して合意します。

「社員の負担を減らしたい」という課題だけでは、どの機能が必須か、どの結果で受入確認をするかは決まりません。社内で合意した条件、希望する条件、未確認の条件を分けて渡します。原資料にない予算、納期、性能を、AIに埋めさせないことが重要です。

IPAは、要件の整理に経営層・業務部門が参加し、ベンダーの支援を受けても成果物を自社で確認する考え方を示しています。本記事は発注者側の文書演習です。特定製品の機能、開発の提供条件、完成した正式RFPを保証するものではありません。

要件票を作る4手順で、課題から回答までつなぐ

手順作るもの確認すること
1. 原課題と合意条件を固定原資料ID、対象業務、決定済みと未確認の一覧何を会社が決めたのか
2. 要件IDと区分を付ける必須・希望・未確認の要件票AIが重要度や仕様を追加していないか
3. 受入確認の案を対応入力、期待結果、確認者、未確定条件要件に対応する確認方法か
4. ベンダー回答を照合要件別の回答、差分、再質問対応可という言葉だけで合意していないか

作る順序は、ツールの機能一覧を見て希望を増やすことから始めません。まず対象業務と困りごとを絞ります。費用の比較に進む前に、各社が同じ条件へ回答しているかを確認すると、価格差と提供範囲の違いを区別できます。

改善提案の管理ツールを検討する、架空の原資料

以下は当社作成の架空教材です。会社、提案、ベンダーの回答は実在せず、生成AIを実行した結果でもありません。実資料を使う際は、取引条件、個人情報、内部の運用を入力してよいか、会社が承認した環境とルールで確認します。

A01/現状と課題:社員の改善提案がメールに分かれて届くため、受付と担当、対応状態を一か所で確認したい。今回は改善提案の受付後の記録管理を対象とし、改善内容の採否を自動で決める仕組みは対象外。

A02/業務責任者が合意した最低条件:提案ID、受付日、提案内容、担当、対応状態を保存する。提出社員は自分の提案だけを閲覧し、改善担当2名は全件を閲覧する。対応状態は「受付」「検討」「実施中」「完了」の4つとし、改善担当だけが更新する。

A03/希望と未確認:既存CSVの取込みを希望するが、対象列、欠損・重複の扱いは未確認。予算上限、利用環境、保存期間も未決定。業務責任者が要件案を確認し、経営者が予算と発注条件を判断する。

A01の「一か所で確認したい」は課題です。A02はこの教材の会社が合意した最低条件なので必須にできます。一方、A03のCSV取込みをAIが必須へ変えると、社内で決めていない重要度を追加したことになります。

指示文から、要件IDと受入確認案の完成票を作る

コピーして使う指示文:架空原資料A01〜A03だけで、改善提案管理ツールのRFP用要件票案を作ってください。要件ID、区分、内容、根拠ID、受入時に確認する案、未確認事項を表にしてください。A02の最低条件だけを必須、A03のCSV取込みは希望、決まっていない条件は未確認にしてください。予算、納期、製品名、性能を追加せず、改善提案の採否をAIへ任せないでください。受入確認はこれから合意する案と明示し、実ツールの動作確認済みにはしないでください。

ID・区分内容と根拠受入確認案・残る確認
Q01:必須提案ID・受付日・内容・担当・状態を保存する(A02)T01:架空提案V01を5項目で保存し、再表示して入力と一致を確認。項目形式は別途合意
Q02:必須提出社員は自分の提案だけ、改善担当2名は全件を閲覧(A02)T02:架空社員A/Bの各提案で閲覧範囲を確認。アカウントと設定方法は確認待ち
Q03:必須状態は受付・検討・実施中・完了。改善担当だけが更新(A02)T03:改善担当による4状態の更新と、提出社員による更新ができないことを確認する案
Q04:希望既存CSVを取り込みたい(A03)列と欠損・重複の扱いが未確認。仕様を合意してから入力と期待結果を作る
U01:未確認予算上限・利用環境・保存期間(A03)経営者と業務責任者が決める。AIで金額や期間を補わない

T01の入力例は「V01/2026年10月6日/共有棚の表示をそろえる提案/改善担当A/受付」です。5項目を再表示して照合する資料を用意します。T02では社員Aが社員Bの提案を閲覧できないことも確認対象にします。実装や権限設定を済ませた結果ではなく、ベンダーと確認範囲を合意するための案です。

Q04は、CSV対応という言葉だけでは受入条件が決まりません。どの列をどう対応させ、欠損や重複を誰が判断するかを先に確認します。Q01〜Q03についても、利用環境と確認方法が決まるまで、この票だけで発注可能とは扱いません。

2社の架空回答を、要件ごとの対応表へ戻す

回答V-A:Q01の5項目を保存できます。Q02の個別閲覧制限とQ03の4状態・改善担当のみの更新は設定で対応する案です。設定単位と動作は未確認です。Q04は取込列を相談して検討します。金額、環境、保存期間は未回答です。

回答V-B:Q01の5項目を保存できます。Q02は全社員が全提案を閲覧する案です。Q03の状態は「受付」「対応中」「完了」の3つです。状態の更新権限、Q04、金額、環境、保存期間は未回答です。

要件V-Aとの照合V-Bとの照合
Q01保存対応との回答あり。項目形式とT01を確認する保存対応との回答あり。項目形式とT01を確認する
Q02設定案あり。社員別の範囲をT02で確認する条件は未合意全員閲覧の案は必須条件と不一致。変更可否を再質問
Q034状態・権限の設定案あり。T03と設定方法を確認3状態は必須の4状態と不一致。更新権限も未回答
Q04・U01CSVは相談段階。見積金額・環境・保存期間は未回答。社内予算上限も未決定CSV・見積金額・環境・保存期間は未回答。社内予算上限も未決定

回答の「対応できます」は、実際の確認に合格した意味ではありません。V-Aには設定と動作確認の条件を質問し、V-Bには閲覧範囲と状態の変更可否を質問します。どちらも費用と利用条件が足りないため、この資料だけで採用や発注を決めません。

経営者は、条件を決める仕事と整理する学習を分ける

社員研修の成果物は、原資料、指示文、要件票、受入確認案、回答対応表と再質問です。社員が必須の根拠を示し、未確認を埋めず、回答と要件の違いを説明できるかを評価します。文章が整っていても、予算を補う、希望を必須へ変える、動作未確認を合格にする場合は修正します。

発注者の判断には、業務責任者の合意、情報管理と利用環境の確認、提供範囲と見積、受入条件が必要です。要件が決まっていない場合は社内の確認を先に進めます。合意済みの材料を整理できないことが課題なら、生成AIへの指示と照合を学ぶ演習にできます。

発注前の条件を、根拠のある要件票へ整理する

中小製造業向け社員AI研修について、整理したいIT業務、合意済み条件、原資料の確認担当を用意してご相談ください。教材の範囲や利用環境、研修の提供条件は個別に確認します。

要件整理を題材にAI研修を相談する

まとめ

RFPの要件整理は、原課題と合意条件を固定し、要件IDと区分を付け、受入確認案を対応させ、ベンダー回答を照合する4手順で進めます。生成AIへ仕様や予算を決めさせず、原資料と回答の違いを残しましょう。経営者は不足する条件を確認したうえで、発注と社員の学習を判断できます。

参考資料・確認日

2026年10月2日確認。4手順、A01〜A03、Q01〜Q04・U01、T01〜T03、V-A・V-Bは当社作成の架空教材です。IPA標準RFP、実ベンダーの仕様や見積、実ツールの確認結果、自社研修の確定内容ではありません。