製造業のExcel集計は、条件と単位を社員が説明する

工程ごとの作業時間、区分別の記録数、対象日の加工数量など、Excel集計では似た表から違う答えを作ります。「工程Aを集計して」だけでは、対象日や手直しを含めるかが分かりません。まず担当者が、集計対象・除外する行・求める値の単位を言葉にします。

生成AIにはその条件に合う式の候補と説明を求め、社員がExcelで計算し、元表へ戻って確かめます。経営者は、式を作れたことに加えて、どの行を足し、どの行を除いたか説明できることを業務で使う条件にしてください。集計値だけをAIに答えさせると、後から同じ条件で再計算する根拠が残りにくくなります。

生成AIと進める4手順:条件・指示・計算・検算

手順社員がすること残すもの
1. 条件を決める列、データ形式、単位、対象日、対象工程、対象区分を整理する集計条件のメモ
2. 式を依頼する条件とセル範囲を伝え、式と対象行の説明を求める入力した指示文と式の候補
3. Excelで計算する原表と式を同じ確認用シートに置き、原表と重ならないセルへ式を入力する原表と式を入れた確認用シート
4. 元表で検算する対象行を目で選び、手計算と式の結果を比べる対象行と検算結果の記録

入力に使う4行の架空データ

以下は当社作成の架空教材です。確認用シートのA1:E5に、1行目を見出し、2〜5行目をデータとして置きます。左端の「行」は位置を示す説明で、入力する列ではありません。A列は時刻を含まないExcelの日付値、D・E列は数値です。D列はその行に記録した作業時間(分)、E列は加工数量(個)であり、良品の出荷数量を表す設定ではありません。

行A:日付B:工程C:区分D:作業分E:加工数量
22026/10/6A通常3010
32026/10/6A通常4515
42026/10/6B手直し205
52026/10/7A通常258

生成AIへの指示文

Excelの集計式を作りたい。A2:A5は時刻を含まない日付値、B2:B5は工程、C2:C5は区分、D2:D5は作業時間の数値(分)、E2:E5は加工数量の数値(個)。2026年10月6日・工程A・区分「通常」の3条件すべてに合う行について、作業分の合計、記録の件数、加工数量の合計を求める式をそれぞれ示してほしい。合計にはSUMIFS、件数にはCOUNTIFSを使い、条件と対象範囲の意味を説明する。材料にない行や数量は追加しない。

実務の表全体を入力する前に、まずこのような架空の小さな表で練習できます。列の意味が曖昧なら式を依頼する前に担当者へ確認します。「数量」が加工数、良品数、受注数のどれかで、経営判断に使える値が変わるためです。

式の完成見本:作業分・件数・加工数量を分けて計算する

以下は、原表A1:E5と同じ確認用シートのG2・G3・G4へ、順に入力する式の見本です。原表と重ならないセルを使います。実際のブックに入れる際は、シート、列、行範囲、データ形式を自社の表に合わせて確認してください。DATEは対象日を作り、SUMIFSは指定したすべての条件に合う行の数値を合計し、COUNTIFSは条件に合う行を数えます。

集計値式の見本
作業分の合計(G2)=SUMIFS(D2:D5,A2:A5,DATE(2026,10,6),B2:B5,"A",C2:C5,"通常")
記録の件数(G3)=COUNTIFS(A2:A5,DATE(2026,10,6),B2:B5,"A",C2:C5,"通常")
加工数量の合計(G4)=SUMIFS(E2:E5,A2:A5,DATE(2026,10,6),B2:B5,"A",C2:C5,"通常")

原表を別シートに置く場合は、3つの式の各範囲に原表のシート名を付けて参照します。たとえばシート名が「原表」なら、D2:D5を'原表'!D2:D5へ変更し、A・B・C・E列の範囲にも同じシート名を付けます。式を入力するシートへ原表があるかによって、参照する場所が変わる点を確認してください。

SUMIFSの最初の範囲は合計する列です。作業分ならD2:D5、加工数量ならE2:E5を指定し、その後に日付・工程・区分の範囲と条件を並べます。3つの式の条件が同じでも、合計する値と行数は別です。各範囲の行数をそろえる必要がある点も、Microsoftの公式説明で確認できます。

検算例:対象は2・3行目、75分・2件・25個

元表を見て3条件すべてに合う行へ印を付けます。2・3行目は対象日、工程A、通常が一致します。4行目は工程B・手直しのため対象外、5行目は日付が翌日のため対象外です。この選別から、次の計算ができます。

求める値元表による検算結果
作業分2行目30+3行目4575分
記録の件数対象は2・3行目の2行2件
加工数量2行目10+3行目1525個

社員の完成提出物は、条件メモ・3つの式・計算結果・対象行の説明を一組にします。確認者はExcelの結果が75・2・25となるか、さらに3条件が式へ反映されているかを確認します。結果の一致だけでは、たまたま同じ答えになる条件漏れを見抜けません。

この値から「良品が25個できた」「工程Aの生産性が上がった」とは判断できません。良品の判定、投入人数、比較期間などが材料にないためです。記録を集計する操作と、指標の意味を決める仕事を分けて扱います。

計算が合わないときは、条件・範囲・データ形式へ戻る

AIへ「正しい式に直して」とだけ頼む前に、担当者がどこまで一致しているかを確認します。まず小さな表で対象行を説明し、次に式を一部分ずつ見ます。

  • 条件漏れ:D列の4行すべてを足すと30+45+20+25=120分になります。75分と違う場合、日付・工程・区分の条件を確認します。
  • 範囲漏れ:この例の式は5行目までです。実務で6行目以降を追加したら、その行が範囲に含まれるか確認します。
  • 日付:見た目が同じ日付でも文字列や時刻付きの値なら、この例と前提が違います。型と時刻の有無を確認し、条件を設計し直します。
  • 文字と単位:工程名の空白や表記違い、数字に単位を付けた文字列、分と時間の混在を確認します。
  • 元の記録:重複行、空欄、訂正前後の行をどう扱うかは担当者が決めます。AIの提案だけで欠けた値を補いません。

列の意味や元の値に不明点が残る場合は、報告への使用を保留します。ゼロが出ても「該当する仕事がなかった」と即断せず、条件に一致しなかった理由を確認してください。式の変更後は、変更した条件と検算結果を記録します。

経営者が研修前に決める題材と確認担当

初心者向けの題材は、社員が普段扱う表の構造を参考に、架空の少数行で作れます。自社の実データへ移る際は、入力してよい情報と利用環境を承認し、原本を書き換えない確認用シートから試します。顧客名や金額を削除しただけで、製品情報や工程情報まで使用可能になったとは限りません。

確認担当には、式に詳しい人だけでなく、行と列の業務上の意味を説明できる人を置きます。社員が列・3条件・単位を説明し、対象行と式を照合できれば、次の表へ進む判断材料になります。条件の解釈に迷う場合は先に業務担当へ戻し、式の知識を増やすだけで解決しようとしないでください。題材の選び方は製造業のAI業務選定も参考になります。

Excel集計の指示と検算を題材に、AI研修を相談する

中小製造業の事務職・現場担当者向けに、生成AIの基本操作、業務の指示、出力確認を学ぶ研修をご相談できます。サービスページで内容例をご覧ください。社員の経験と扱う表、利用環境を伺い、演習の範囲・時間・形式・費用を個別に確認します。

Excel業務を題材にしたAI研修を相談する

まとめ

製造業のExcel集計に生成AIを使うときは、条件を決め、式を依頼し、Excelで計算し、元表で検算します。少数行で条件と対象行の関係を確かめ、式と確認結果を一緒に残しましょう。経営者は、計算結果だけでなく、社員が単位と除外条件を説明できるかを実務へ進む基準にできます。

参考情報(2026年10月2日確認):元表、指示文、式の組み合わせ、検算例は当社作成の架空教材です。研修の確定内容、業務削減効果、実際の顧客データを示すものではありません。