問題解決とは、何をすることか
現場でいう問題とは、「あるべき姿」と「現状」の差のことです。問題解決は、この差を生んでいる原因を突き止めて取り除き、同じ差が再び生まれないようにする一連の取り組みを指します。
ここで区別したいのが、応急処置と再発防止です。不良品を選別する、止まった設備を再起動するといった応急処置は目の前の影響を抑えますが、原因には触れていません。問題解決はその先で、原因を取り除き、決めたやり方を残すところまでを含みます。
問題解決の6つの手順
品質管理の分野で使われてきたQCストーリーなどの進め方を、現場で使いやすい6つの手順に整理すると次のようになります。
| 手順 | すること | 主な道具 |
|---|---|---|
| 1. 問題の明確化 | あるべき姿と現状の差を具体的に書く | 不良記録、日報 |
| 2. 現状把握 | いつ・どこで・何が・どれだけ起きているかを事実で集める | チェックシート、パレート図 |
| 3. 原因の特定 | 考えられる原因を洗い出し、事実で確かめて絞り込む | 特性要因図、なぜなぜ分析 |
| 4. 対策の立案と実行 | 原因を取り除く対策を決め、担当と期限を決めて実行する | 対策計画表 |
| 5. 効果の確認 | 手順1で書いた差が縮まったかを同じ物差しで確かめる | グラフ、管理図 |
| 6. 標準化 | 効果のあったやり方を手順書と教育に反映する | 作業手順書、教育記録 |
表の道具のうち、チェックシート・パレート図・特性要因図などはQC7つ道具で解説しています。
各手順でつまずきやすい点
手順1・2: 問題をあいまいなまま進める
「品質が悪い」「ミスが多い」のままでは、何を調べればよいかが決まりません。「A工程のねじ締め不良が、先月から夜勤で増えている」のように、対象・時期・状態を具体的に書きます。現状把握では、会議室の報告だけで判断せず、実際に現場で現物を見て確かめます。この考え方は三現主義と呼ばれます。
手順3: 思いついた原因にすぐ飛びつく
経験のある人ほど「原因はあれだろう」と見当をつけがちですが、見当は仮説にすぎません。人・設備・材料・方法といった観点で原因の候補を広く洗い出し、1つずつ事実で確かめて絞り込みます。原因の掘り下げ方はなぜなぜ分析で詳しく解説しています。
手順4: 対策が「注意する」で終わる
「作業者に注意喚起する」「気をつけて作業する」は、人の意識に頼る対策で、時間がたつと効果が薄れます。手順や治具、確認の仕組みを変える対策を優先し、実行する担当と期限を決めます。
手順5・6: 効果の確認と標準化を省く
対策を実行した時点で終わったことにすると、本当に効いたのかが分かりません。手順1と同じ物差しで差が縮まったかを確かめ、効いたやり方は手順書に書き込みます。ここを省くと、対策が担当者の記憶の中にだけ残り、人が入れ替わると問題が戻ってきます。
対策を手順書に反映する方法
手順6の標準化は、問題解決の成果を現場に残す段階です。次の3つをそろえて行います。
- 手順書を改訂する: 変えたやり方と、その手順が必要な理由を書き込みます。理由があると、作業者が手順を省きにくくなります
- 関係者に教え直す: 改訂した手順書を配るだけでなく、該当する作業者に教え、理解できたかを確かめます
- 歯止めを決める: 同じ原因が戻っていないかを、作業観察や点検でいつ確かめるかを決めます
ポイント: 設備・材料・方法・人のいずれかを変えたときは、変更点として管理すると、変えた直後の問題に早く気づけます。進め方は4M変更管理で解説しています。
現状把握と標準化を、作業動画で支える
6つの手順のうち、現状把握と標準化は作業の実際を確かめて文書にする手間がかかる段階です。AI Manual Coachは、作業動画をアップロードするだけでAIが工程を解析し、作業手順書を自動生成する製造業向けのシステムです。
- 熟練者・新人比較分析: 熟練者と新人の作業動画を比較し、差分と改善提案を含む分析レポートを生成できます。人による作業のやり方の違いを、現状把握の材料にできます
- 手順書の自動生成: 対策後のやり方を撮影すれば、テキスト・画像付きの手順書として自動生成でき、標準化にすぐ取りかかれます
- 承認ワークフロー・バージョン管理: 改訂した手順書を承認を経て更新し、改訂前の版も残しておけます
- 理解度テスト自動生成: 改訂した手順書の内容から理解度テストを自動生成でき、教え直しのあとに理解できたかを確かめられます
まとめ
問題解決は、あるべき姿と現状の差を生む原因を取り除き、同じ差が再び生まれないようにする取り組みです。①問題の明確化 ②現状把握 ③原因の特定 ④対策の立案と実行 ⑤効果の確認 ⑥標準化の6つの手順で進めます。つまずきやすいのは、問題をあいまいなまま進めること、思いついた原因にすぐ飛びつくこと、対策が注意で終わること、効果の確認と標準化を省くことです。効果のあったやり方は手順書の改訂・教え直し・歯止めの3つで現場に残し、問題を場当たりの対処で終わらせないようにします。




